中谷潤人選手の名勝負という芸術には、井上尚弥選手という最高の対戦相手と舞台が欠かせない!神奈川の龍と虎が世界一を賭けて再び相まみえる日が楽しみだ!!

中谷選手、ボクシングの「肉を切らせて骨を断つ」といった激しいイメージとは全く逆の、表情も語り口も、本当に穏やかで優しい方だった。僕は中谷選手と話をしながら、映画『椿三十郎』で城代家老の奥方が主人公に言う「本当にいい刀は、普段は鞘に入っているものです」という名台詞を思い出していた。武道の本当の達人とは、そういう佇まいなのだろう。
「井上尚弥選手との駆け引きを楽しみながら戦うことができました。」という話も居合における「構え」と「間合い」そのものだ。派手に拳を交わさずとも、両者の間には火花が散っていたわけだ。「観ていただいているファンの人たちにもボクシングの魅力をお伝えできたんじゃないかなって感じました。」名勝負という芸術には、最高の対戦相手と舞台が欠かせないのだ。
僕たち、ボクシングの素人にも分かりやすく解説してくださる誠実さ。その奥には、中学校の沖縄修学旅行で、民間人も巻き込んだ戦争の話を聞いて、何事も当たり前じゃない。ボクシングをやれている環境、その環境を作り出してくれている、ご家族や応援してくれる全ての人に感謝するという生き方があった。
中谷選手は日々のボクシングを記すノートの最後に、「目の前の試合が決まったことに対して、勝ったことを想定して、勝利することができました。本当に皆さんのおかげです。ありがとうございました。」と感謝をつづるサンキュー日記という数行がある。まだ、中谷選手の次戦は決まっていない。しかし、中谷選手はこう言った。「目指すパウンド・フォー・パウンド1位は井上尚弥選手なんで、1位になることは井上選手を倒すこと。負けた身で、なかなか言えることではないんですけど、本当にタイミングが合えば戦った時はしっかり勝つという気持ちで、これからもまずはスーパーバンタム級の世界チャンピオン、井上選手なんでそこを狙っていくって言ったところは変わりはないです。」と。
そう遠くない将来、井上尚弥選手との再戦の後の、奥さまへ、ご家族へ、ジムの関係者、そしてファンへ、そして対戦相手への感謝が書かれる日が来ると思う。神奈川の龍と虎が世界一を賭けて再び相まみえる日を楽しみに待ちたい。
モリタニブンペイ





